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第五十九話 白家の子供たち

last update publish date: 2026-10-04 10:27:15

その少女は、赤い紐を握っていた。

 細い指。

 爪は短く切られている。

 汚れはない。

 けれど、手は子供の手ではなかった。

 正確に言うと、子供の形をしているのに、子供らしくない手だった。

 誰かに甘えるために伸ばされた手ではない。

 物を落とさないように握る手。

 命令された帳を燃やすために、火を扱う手。

 白家最後の帳守。

 少女は、そう名乗った。

「白啓様が、死ぬ前に燃やせと命じた帳を持ってきました」

 私は寝台の上で、その赤い紐を見ていた。

 白蓮の飾り。

 小さい。

 玩具のように見える。

 でも、玩具ではない。

 帳の封印だ。

 後宮にまだ残っている白家の子の帳。

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